まだ取材は続いていた。
―そもそも、歌詞とメロディ、2つでMcKINLEYの曲なんだよね?
「うーん、2つで、っていうか、元々一緒のものなんだよね?」
とコウヤの顔を見ながら答えたマサカズ。
―メロディ先行だって言ってなかった?
「なかった。」
とコウヤがうつむきながら、食い気味に強い口調で即答する。
―でも、ギターのリフが最初でしょ?
皆も躍起になってきた。
「ちょ…、そういうんじゃないって。」
とマサカズはちょっと笑いながら答える。
「コウヤの歌詞もね、メロディからイメージして…とかいうんじゃないと思うんだ。2人で曲をイメージしたときに、もう頭の中に『それ』があって、そこには選択がないんだよね。全部が呼応してるんだよね。」
―チャネリングじゃん!その説明じゃ。音楽を作る「努力」ってないわけ?
「…ギターのスライドや早弾きなんてね、ただのテクニックでさ、基礎って有って当たり前だと思わない?」
と、皆の話を聞き終えると、間をあけてからマサカズが少し力説した。
「自分たちが作りたいものがあって、それに対しての引出しは多くあった方が良いじゃん?イメージしたものを現実でより近く再現するために、あって当たり前のものだ、…って僕は思ってるんだけど―――」
突然コウヤは立ち上がった。彼はこう言葉を残すと、その場を立ち去ってしまった。
「おい、ちょっと待ってよ…。」
しかし、マサカズはコウヤの気持ちが手に取るように解っていた。
確かに酷であった。それはマサカズにとっても同じ事だった。二人は自分達の音楽を信じていた。しかし、人はいつも「言葉での説明」を求めたがる。それが例え愚行だと解っていても。
スタジオを立ち去る2人。そんなMcKINLEYの後を追う者はなかった。
次の日から、いつものスタジオ前には1人、また1人と集まる記者は減っていき、そして遂に誰もいなくなった。
その日も彼等は街角で歌っていた。
数時間の熱唱の後、空を見上げるコウヤ。しばらくするとコウヤは空に向かって声をあげた。
「心で見つめ合おう。」
マサカズは声もなく頷いた。
コウヤは心を込めてこの唄を歌う。この気持ちを忘れないために―――


